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「命を守る家」ってどんな家?(2)
「幸せになる住まい」の匠 石ヶ谷英明です
住宅で大切なのは、「地震への強さ」を何によって 確保するかなのです。
木造寺院や明治時代頃までに建てられた民家は、「柱を太くすること」で地震に
対する強さをましていく構造になっています。
それに対して現在の木造住宅は、「地震への強さ」を「柱の太さ」にもとめていません。
実は、現代の木造住宅では、地震に対する強さを「柱の太さ」でなく
「壁」にもとめているのです。
現代の住宅は、「筋交い」と「柱」が壁を構成し、これが強さをつくっているのです。
※「筋交い」の代わりに合板、認定を受けた構造用パーティクルボードを使用場合があります。
「筋交い」の考え方が、日本に入ってきたのが、明治時代になってから
「水平力に耐える住宅」を実現するために「筋交い」の発想が持ち込まれたようです。
しかし、法的に規定されるようになったのは、関東大震災がきっかけと言われています。
「筋交い」が実際どのように地震に対して機能したのか、いかに壁が地震に対する
「強さ」に重要な役割を果たしているかを お話いたします。
住宅というのは、さまざまな力を受けているのです。
その力の加わり方や大きさ、方向などによっていろいろな種類があるわけです。
たとえば、重力による荷重です。 これは「鉛直荷重」です。
建物自身の荷重 「固定荷重」
建物内の家具や人間の重さによる 「積載荷重」などの種類があります。
それに対し、地震や強い風など主に横からかかる力が「水平荷重」です。
柱というのは、「鉛直荷重」を支えることはできますが、「水平荷重」には
あまり有効に働かないにです。
柱だけでは、「横からの力」に耐えられない。
そのために「筋交い」の入った壁が必要なのです。
机の上に立てた鉛筆を想像してみてください
つまり、鉛筆を立てて上から相当な圧力を、かけても壊れませんが、
横からだと、ちょっと押しただけであっけなく倒れるし、壊れます。
関東大震災のとき約3万戸が倒壊しましたが、「水平荷重」に耐えられる家がもっと
多かったらとの経験から、現在では「筋交い」のある壁で「横からの力」に
耐えられるように設計された木造住宅が主流になっています。